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第70回 買い手不在<6/1>

 いま、日経平均は5円高の12,268円。膠着相場が続くのかなと思っていたら、予想以上に下落が続いて、3月安値からの半値押しさえありうる状況となってきました。
 我々の仲間は、頭を抱え込んでいるか、暇をもてあましているか、いずれにしても完全に戦意を喪失しています。市場を見わたしても、元気なのは、昨日新規公開したサービスウエアやこのところ乱高下しているサミーなど、いわばマニアックな感覚でしか参加できない銘柄がほとんどです。

 私は運良くサミーの乱高下で多少手数料を稼がせてもらいました。しかし、大半の顧客は日に日に株に嫌気がさし始めています。今年初めのいちばん苦しかったときより、いまのほうがむしろ顧客の気分は冷えきっているようです。

 私の顧客にも1人だけ例外的に元気な方がいらっしゃいます。最低単位でしかも値の低い株をコツコツと買い続けていらっしゃる方です。小口だから馬鹿にするというわけではありませんが、全部で200万円位の預かりだろうと思っていたところ、今日5月末現在を確認したところ、なんと600万円以上ありました。今年になって、買い増し、買い増し(代金不足分送金)を繰り返されたので、いつの間にか急増していたのですね。
 私の勧めた合同鉄やニチメンも、いつの間にかそこそこの株数になっており、今更ながら継続の力を馬鹿にしてはいけないと感じるのですが、その方だけは今週もコツコツと買われています。

 いまの相場状況を見ると、本当に欲しい銘柄をコツコツ買うタイプの投資家がもっともっと増えなければいけないのだなと感じます。
 上がりそうなら、ちょっくら買っておくかな、下がりそうなら、手仕舞っておくかな、というタイプの投資家も、もちろん市場には必要なのでしょうが、日本の投資家にはあまりにもその浮遊タイプが多すぎます。
 大体、証券会社を無事定年で辞めて、資産があっても貸付信託にしてしまうような人が多いのに驚かされます。(もっとも、辞めた途端に、助平根性丸出しで短期張りをやり、あっという間に大損してしまった人も知っていますが)

 ところで、今日はマニアックな銘柄ばかりが動いていると書きましたが、そうとばかりは言えないようです。例えば、リケン(6462)の335円の25円高。私はこの銘柄はまったく手がけていないので、それほど詳しくないのですが、先日発表した決算は素晴らしいものでした。PER9倍も魅力ですが、7円50銭への増配は中長期に安定感がありそうです。私がもし今、退職金をもらえるなら、喜んで老後資金運用のポートフォリオに加えますね。
 多分、リケンがいくら年初来では高値圏とはいえ300円あたりにいる現状は、市場にリスク感が高いということを示すものではなく、ただ単に、買い手が不足しているという現状を示しているものと思われます。

 ところで、合同製鉄ですが、お客様が許してくださる限り、なるべく長く保有することとしました。信用で買っている人もいるので、あまりのん気なことは言えないのですが、中期的にはさらに一段の収益向上の方向にあると思います。

 いま、書き終わったら、日経平均は3円高でした。


第69回 喜ぶべきか悲しむべきか<5/29>

 合同製鉄が決算を発表したので、また書きます。
 
 いまはまだ、数字だけが伝わっただけなので、大雑把な議論になりますが、まず今期の連結経常利益の見込み額が35億円となっているのは、私の内心の予想通りでした。
 前期実績で、下期は経常利益で約21億円の急回復となっているので、40億円以上の見込みが出てもおかしくないはずですが、この会社の傾向からしてやや控えめの数字になるだろうと思っていたのです。
 私は顧客に対してはそれをさらに割り引き、30億円の予想にし、1株利益15円強という予想を打ち出していました。

 発表された数字は、経常利益では私の顧客向け予想を上回ったにもかかわらず、最終利益段階で大幅に黒字幅が縮小し、1株利益では、9.7円とややがっかりするものでした。
 単独では、1株利益18円台と順調な数字が出ているので、この原因は、おそらく関係会社でなんらかの理由により20億円の特別損失を見込むからと思われます。

 本来、妥当株価を考える場合に、特別損失(特に評価損などすでに存在していたもの)はあまり重要でないことが多いと思われます。しかし、目先の人気面では、1株利益9円台と10円以上では大きな違いです。事実、発表直後には投売りみたいなものも出て、7円安の114円まで下落しました(終わりは1円安)。

 私にとって、昨年来の思い入れだった合同製鉄の大幅黒字化見通しが、ついに現実のものになったことは大変嬉しいことです。昨年の5月には黒字転換予想をまくしたてたにもかかわらず、会社の出したのは収支トントン予想で、大恥をかいたのですが、前期も終わってみれば、経常利益段階では15億円以上の黒字だったのですから、まったくの見当違いではありませんでした。

 だから、1株利益がややがっかりする数字だったからといって、現時点では方針を変更する気持ちはありません。少なくとも、31日の説明会の結果を待って、根本からもう一度じっくり考え直してみたいと考えます。


第68回 強弱の均衡続く日々<5/28>

 あと15分で今日の相場も終わりますが、いま日経平均は18円安、今日は最近に輪をかけて動意薄となっています。外務員仲間のほとんどは朝から開店休業の状態ですが、私は、個人的に正念場の合同製鉄の決算発表を明日に控え、落ち着かない一日でした。

 合同の決算発表がなぜ私にとって大切かといえば、まず第一に、その株価により私の顧客の資産がある程度の割合で影響を受けるということがありますが、合わせて私自身のかねてからのこだわりに対して白黒の決着がつく可能性が高いと考えるからです。

 株式投資には、もちろん、臨機応変の柔軟な姿勢が必要です。でも、一方では、簡単に信念を曲げない初志貫徹の精神が必要なことも確かです。その二つの側面をいかに矛盾なく組み合わせられるかで、おそらく投資家としての巧拙が決まってしまうのではないかと思います。

 合同については、私の場合、こだわり過ぎになっている可能性もありますが、とりあえず初志貫徹の方針で臨んでいます。今朝も、顧客向けに「私としては」(今度こそ)「好業績予想」が出るはずというレポートを流したほどです。もし、結果が悪ければ目も当てられないほど恥をかくはずですが、恥だけなら、立て直しも可能なはずといまは腹をくくっています。

 ところで、合同と業態の似た東京鉄鋼の決算が今日大引け間際に伝わり、好業績予想だったので17円高の105円と買われました。この会社は合同とは比べものにならないほど脆弱な企業内容なので、人気が本格化するとは考えませんが、とりあえず明日の株価動向には、好決算を発表した場合の合同の株価を占う意味で注目したいと思います。

 続伸したタクマや、好業績予想の三菱瓦斯化やオリコなど、ごく一部の銘柄を除けば、今日はまったく買い気の薄い市場でしたね。私も、サミーやビジコンなどが大幅安となったので、意気が上がりませんでした。サミーは特に、先日の飛びつき買いの結果がどうなるか心配なほか、中長期投資狙いで買った現物(買値はきわめて低い)もまだ少し残っているので、一喜一憂は投資に禁物と分かっていても、結構気にしてしまうのです。


第67回 膠着相場の中で<5/25>

 いま、日経平均は13,921円で、25円高です。これは4月末の日経平均とほとんど一緒の水準であり、1月末もほぼ同じです。1月末にこだわるのは、ある顧客の運用結果を3ヶ月おきに集計しているという個人的事情もありますが、底割れした3月半ばを除き、日経平均の1万4千円手前というのが昨年末から相当にしつこい株価水準になっていることは確かでしょう。

 どんな上昇相場だって足踏みがあります。足踏みがしつこいから、陽気一方の上げではないことは確かですが、だから弱い相場だとは言えないはずです。
 今日の業界紙に、7月6日に日経平均は1万1千円台を再びつけるという、ある人の予言(というよりご託宣)が掲載されておりました。先日のTVでは、弱気で有名なストラジストが年内1万円割れを予想していました。
 株の世界では、どんな予想だって当たる確率はあります。だから、お二人の予想が絶対外れるだろうなどというのではありませんが、現状では、投資家にとって現実的な考え方ではないと私は思います。

 98年10月の大底形成の後は、翌年1月に二番底をつけ、本格上昇は3月からです。だからと言って、11月とか12月に株を買った人が失敗したわけではありません。買った途端に値下がりしていやな思いはしたかもしれませんが、結果的にはほとんどの銘柄で満足できる利益を得られたはずです。しかも、二番底をつけたのはあくまで日経平均であり、例えばソフトバンクのように、ほとんど反落せずにそのまま上がり続けた銘柄も数多くあったのです。

 とは言っても、もし1万円割れがあったらどうするか? もちろん、可能性はあるわけですが、暴落の可能性は、どんな相場状況でもあります。アメリカ経済が突然破綻的に失速したらどうするか、構造改革の痛みにより日本企業に破綻が続出したらどうするか、などなど心配の種はつねにあります。だから、危ないと考えるなら、株はそもそもやるべきではないと私は考えます。

 株はつねに危ないもののはずです。安全でかつ毎日面白いように値上がりする相場など、永久に来ないと思います。米国の90年代の相場は、結果的には長期的に順風満帆の相場となりましたが、つねに危ない、危ないと言われ続け、下がるたびに「そら見たことか」という人が相当にいました。

 船を漕ぎ出すなら、波が静かなときがよいに決まっています。しかし、株を買うのには「危ない」と言われているときも、「安全だ」と言われているときも、リスクの大きさはあまり変わらないのではないのでしょうか。

 ましてや、相場はもみ合っています。もみ合っているということは、強気と弱気がほどほどに釣り合っているということで、3月とは明らかに状況が違います。ましてや、個別株で見れば、割安でかつ魅力のある銘柄なら、思い切り高く買ってもよいという動きが続いていますので、私にとってはまずまずの投資環境に思えます。

 この銘柄のこの値段なら、ぜひ買いたい。目先できれば下がってほしくないけど、全体相場の具合で下がるのなら、下がっても投資したことに悔いはない。(長期的にはもちろん報われるのだから)
 そのようなスタンスの投資家、いわばバフェットさんのような人が日本市場に一人でも増加することを願っています。

<失敗談のその後>
二匹目のどじょう狙いで、1時間で600円幅の損失をかかえたサミーが、昨日持ち直し、今日230円高、とりあえず救われました。短期投資なので、先日の高値を抜けないまま下げに転じるようなら、今度は見切り予定です。


第66回 それぞれの道<5/23>

 昨日はまさかの日経平均マイナス、今日は一時1万4千円割れと、我々外務員仲間の気勢は上がりません。私も五月晴れの相場なんか来ないと頭では割り切っているつもりでも、ついつい胸のすくような上げ相場を期待し、もしやもしやと内心思い続けているので、昨日のようなだれだれの相場では、同じくぐったりしてしまいます。

 株はつくづくに難しいものだと思います。月曜はMSCIで下がるかと思いきや上昇し、火曜はすわ五月晴れかと思いきや下落しました。個別銘柄でも、悪決算で売られたり、売られなかったり、好決算ですぐに買われたり、忘れた頃買われたり、実にまちまちの動きです。

 そのまちまちの動きをピタリピタリと当てられたら、株は面白いようにもうかるのでしょうが、私はほぼあきらめています。せめて当たり外れは五分五分くらいでいきたいものです。逆に言えば、当たり外れが五分五分なら、一喜一憂に振り回されずにそれぞれ思い思いのスタンスを貫けば、株式投資は成功すると考えています。随分前に書きましたが、株式投資がゼロサムゲームだとは私は全然思ってないのです。

 ところで、これを書きながら、また失敗してしまいました。昨日大戦果と述べたサミーが高値から1000円以上の大幅安となったので、またお客に勧めてしまったのです。今、なんと1時間前の買値から500円安、手痛い2匹目のどじょう狙いの失敗例になるかもしれません。

 それでも、比較的のん気でいられるのは、同じお客が持っている短期狙いの銘柄の内、日本ビジコン、TDCソフト、ニチメンなどが堅調だからです。これらは、決算発表後まちまちの反応ながらも、確実に上値を目指しつつあります。
 サミーの場合はあまりにも人気化しすぎた反動が来ているようですが、好決算は事実なので、当面はぶん投げを検討する必要はないと考えます。

 合同製鉄の決算まであと6日、東京での決算説明会(今年は社長が初めて参加するとのこと)まであと8日、この結果により私の営業スタンス、そして顧客のポートフォリオを再検討しようと考えています。


第65回 どんより空だからこそ<5/22>

 昨夜の米国はナスダック指数が100ポイント超高、フイラデルフイア半導体指数が706ポイントと注目の動きになってきました。

 にもかかわらず、東京市場は高寄りの後、またどんよりとしたムードが漂い始めました。再三指摘しますが、今回の上昇では、このどんより感が付きもののようですね。
 1万4千円の大台はクリヤーとなりましたが、今度は4400円に近づくと、みんな迷ってしまうのです。そんなに簡単に株が上がるような状況ではないとほとんどの人が考えています。

 事実、例えば東京エレクトロン。大幅減益見込みにもかかわらず、すでに株価に織り込み済みということで堅調な動きを続けていますが、といって買い上がるには、今期の1株利益が100円以下、かつ来期の回復だって保証の限りではないと考えると、だれだってためらってしまいます。私は、ここ数年のうちにこの会社はアメリカのトップメーカーに相当追いつくのではないかと考えているのですが、それでも目先のPERの高さ(100倍以上)から二の足を踏んでしまいます。

 現在、日本株のほとんどが、買い上がるには今ひとつためらわせる何らかの懸念を抱えているといってよいでしょう。もっとも、鉄道や薬品・食品などいわゆるディフェンシブ銘柄は、ファンダメンタルズからは懸念が少ないのですが、いわばその安定だけがとりえであり、最近の米国ではそのグループはすっかり人気がはげてしまったようです。

 日本株は、特に代表的な株式は、今はどうしても買いたくなるような魅力が感じられないのではないでしょうか。ただし、それはあくまでも、今我々の見えている風景の中で、そう感じているのに過ぎず、風景が変われば、感じ方が大きく変わってくるはずです。

 かつて5千円した兼松日産が、その株価に恥じない内容の企業になる確率は、宝くじ的な確率でしょう。だから、単なるあわよくば・・・・ということなら、株式投資をすべきでないと私は考えます。それに対して、例えば、京セラや東京エレク、アドバンテストなどに近い将来の業容飛躍の夢をかけることは、断じて単なるギャンブルではないはずです。

 電子情報分野で競争を勝ち抜いていく個のハイテク企業、縮小均衡の国内経済の中で独自に成長しうる個の小型企業、もしくはリストラにより生き残りの道を確立しつつある個の在来型企業、それら個別の企業群がこれから日本株の風景を変えていくはずだと私は考えます。

 先日は、決算発表の飛びつき買いの失敗例(アンリツ)を述べましたので、今回は成功例を一つ。15日に決算発表したサミーを5050円で飛びつき買いしたところ、その後上昇を続け、昨日売却し、2500円近い利幅を短期日にえました。目的が手数料稼ぎの売買にしては、思いも寄らぬ大戦果となりました。


第64回 小雨が降ろうと<5/15>

 今日も相場はだれ気味なので、まわりの人は元気がありません。証券マンというのは麻薬中毒みたいなもので、流石に下げ相場のときは身を縮めるようにしてじっと我慢しているものの、いったん上がりだしたら、毎日お祭り騒ぎのように上がらないと、禁断症状が出たようにいらいらして、愚痴っぽくなるようです。

 今の相場は小雨が降っているようなものだと私は思います。3月までの相場だったら、ちょっとした雨でも本降りにならないかどうか本気で心配する必要があったのですが、今の雨はまったく種類が違うものですね。
 売っても買っても、値動きが小幅なので取れない、とぼやく人もいますが、たかだか小雨なのに、それ降りそうだから傘が要る、それ止みそうだから傘要らないといちいち細かく動いても、所詮おてんと様の気ままさに勝てるわけがありません。

 私は明日の天気を聞かれたら、分かりません、と答えます。問題は季節が今はどうなのかなのでしょう。土砂降りの降る、しかも冷たい季節なら、簡単に雨に濡れるわけにはいきません。用心して、用心して、それでも濡れてしまうのですが・・・・。
 でも、今の季節なら、小雨にいちいち考え込む必要はありません。それこそ、「春雨じゃ、濡れて行こう」の余裕があります。

 ところで、その小雨の中で、個別物色の動きが続いており、結構馬鹿にできません。私の好きなところでは、2部のユシロ化学(5013)がたった今、750円と新値を更新しました。
17日の決算前に、じわじわと上昇しています。
 またところで、合同製鉄が昨日127円の11円高と異彩高になりましたが、これについてはなぜこんなところで人気化しているのか私には分かりません。メインバンク筋のみずほ証券から連日の現物売りが出て、信用買い残が大幅に増加し、悔しいけど29日の決算発表までは大きくは動けないかなと覚悟しつつあった矢先なのです。

 もしかすると、合同製鉄の決算発表に、今年こそと期待する人が私の他にも数多く存在するということなのでしょうか? それとも、単なる目先的な値ざや稼ぎなのでしょうか?

 最後に、昨日決算を発表したアイカ工(4206)は水準訂正されてしかるべきと思います。連結1株利益前期60円、今期63円に対して、今たかだか775円の12円高ですから、安心買いの対象と私は考えています。ランバス型対応のプリント配線基盤に着目すれば、もっと高いPERに買われてもいいはずです。


第63回 裾野広大(2)<5/10>

 今日は、静かな相場ですね。2日間わりと下げた後ですから、よほど弱気の人でない限り売り惜しみになるのは当然ですし、強気の買いマインドもそろそろ復活してきて、地合いが部分的な強含みに転じるのは自然なことだと思います。

 3月までなら、こうはなりませんでした。下がれば下がるほど、売りが増加し、大勢強気の人でも目先は弱気にならざるをえませんでした。現在は、その頃とはまったく違う相場状況にあり、簡単には元に戻らないだろうことは確実だと思います。
 もっとも、今でさえ、3月安値が再来するような超弱気を述べる人はいます。私は、バブルがはじけたのにバブルはまだ終わっていないと主張するような、ナンセンスさを感じますが、いろいろな意見があることは大変よいことなのでしょう。

 思い思いの投資構想をじっくりと実らせるべきとき、と前回述べました。根本的な需給不安がない(持ち合い解消売りは仕方がありません。本当に値打ちのある銘柄なら、買取機構を作らなくても、買い手は現れるはずです)一方、強気カンカンになれるほど実体経済がよくない今は、実は投資には最適なのかもしれません。

 銘柄ごとに、じっくりと値踏みできるからです。一方的な強気あるいは弱気が吹き荒れる相場では、銘柄の値踏みは二の次以下になってしまいます。

 これは失敗ですが、昨日2時過ぎに決算を発表したアンリツ(6754)を100円高の2380円で飛びつき買いしてしまいました。予想以上の好調で、今期予想EPS100円を超える予想を出したので、企業の勢いから3000円回復も夢ではないと考えたのです。今日は買い気配の始まりかと思っていたところ、40円安の寄り付きでした。

 もっとも、WDM関連他の収益の動向を評価すれば、必ず見直し買いが入るときが来るだろうと考え、根本的な失敗とは考えておりません。しかし、それにしても、予想よりも悪い見込みを出したアルプスが堅調で、アンリツが軟調とは皮肉なものです。

 このような失敗はありますが、じっくりの貯めこみ型の投資を本流と考え、それに若干の飛びつき買いを組み合わせているのが目下の私のスタンスです。


第62回 裾野広大の相場つき<5/8>

 連休明けの昨日今日、中低位株などこれまでの人気株は見送られています。ガンガンの強気相場を期待していた人はがっかりしていますが、私はそうは思いません。
 すんなりと上に行かないから、弱いという見方もできる一方、一本調子の上げ相場ではないからこそ、長持ちするのではないかとも言えます。

 私は日本株に対して相当に強気のほうだと思います。しかし、それでも、現在の日本株がガンガンと上がり続けたらと思うと、心底ぞっとします。
 現実の社会の変化を先取りするのが株式市場であっても、あまりにも先を急げば、強烈なしっぺ返しが待っていることは、ネットバブルの崩壊が示すとおりです。

 ハイテク業界の業績動向がまだ予断を許さないとすれば、日本には不安のない業界はないといっても過言ではありません。だから、株は上がらないよと、ついこの間まで多くの人が言っていました。いくら首相が代わったからといって、日本中の企業が急に嘘みたいに元気になるはずはないと考えるべきでしょう。

 ちょうど今、ソニーが1万円をつけました。今日の見送り相場の中で買われるには買われるなりの魅力があるのでしょう。ただし、私は買う気がしません。ネットバブルでない今、ソニーの1万2千円以上は、バリュエーションからもかなり無理な気がします。半導体関連と違って、大きな業績の不安はないものの、逆に目先的には大きな期待もできないはずです。

 日本の主力株は、割安のようだが大きな不安があるか、不安はないが割安感がないかのどちらかの傾向を持っています。だからこそ、3月の底打ち以降、物色対象が非常にばらけているのだと思います。特に、5月に入っては、東京スタイルのような万年割安株が人気化したり、日本ビジコンのような出遅れ株が3日連続ストップ高したり、店頭株がぼつぼつ上げてきたりで、よく言えば賑やか、悪く言えば焦点ボケの傾向を強めています。

 私は、この傾向を大変に歓迎すべきことと考えます。テーマがなければ相場じゃないなどという証券マンは、自民党の派閥と同様、古いのだと思います。「主流派」の株をガンガン買うだけなら、度胸だけでできます。

 現在の相場は、政治と経済に大過がなければ、おそらく息の長いものになるはずです。ましてや、新首相の改革が成功すれば、壮大なスケールの上昇相場に発展しないともかぎりません。
 もっとも、現状では、ほぼ確かなことは、日米の株式市場がどうやら最悪期を通過したようだということのみで、先行きは依然雲をつかむような状態なのですから、値がさが買われるかと思えば、中低位が買われ、大型が買われるかと思えば、小型が買われ、あれやこれや思い思いの値踏みがなされている今の状況は、自然な現象と考えられます。

 安いものを買い、高いものを売るという証券投資の原点に基本を置き、先を急がず、思い思いの投資構想を実らせていきたいものです。


第61回 相変わらず眺めているだけの弁<4/25>

 今、日経平均は97円高ですが、中低位株への物色意欲は根強いものがありますね。今週は、月曜日朝高の後あっけなく崩れて、やっぱり模様眺めでよかったかと思わせたものの、昨日の午後からは値がさハイテクも含めて、米国株よりはるかに強靭な動きをしています。

 小泉内閣の誕生により日本経済がどのような方向に進むのか、私にはほとんど分かりませんが。けれど、その生まれ方が示す通り、政治に新しい大きな波が押し寄せてきたのは事実です。そして、市場の今週の動きから判断する限り、市場は馬鹿騒ぎするほど陽気に歓迎はしないものの、未来につながる何かを前向きにじっくり受け止めつつあるのではないかと感じられます。

 中低位株ならまだしも、ハイテクや大手証券は、悪いほうに予断を許さない決算発表を連休前に控え、本来なら見送られて当然と思われますが、びっくりするほど堅調に推移しています。これは、おそらく投資家のマインドに根本的な変化が起こったためなのでしょう。
3月までの市場ムードなら、連休前に株を買いたいと思う人は少なかったはずです。ましてや、悪いはずの決算発表を控えていれば、総見送りにもなりかねませんでした。

 何かが変わったのは確実ですが、その変化の理由が、目先よりも2年後3年後に対しての明るい希望を語る小泉新総理に強く関係するのかどうかは、私には分かりません。ただし、いずれにしても、現在の市場は、連休前の板の間稼ぎをやっている面より、もっとアグレッシブなものを感じさせます。

 ところで、私はどうしているかといえば、立合い時間中にこんなものを書いているほどですから、完全に暇です。

 言い訳になりますが、この正月には、休暇明けのナスダックの崩落と追証の深刻化に脅え、あまりにも辛い1週間を過ごしました。
 その点、今回はまったく状況が違うと頭では分かっているのですが、気持ちがひるんでしまいます。
 まことに情けない話です。

 私の注目している合同製鉄やニチメンが高値更新目前となっていることは、嬉しい反面、連休後なら買い増しするチャンスなのに、と焦る気持ちがつのります。

 そういっているうちに、今日の相場は終わってしまいました。大手証券株が堅調に終わり、明日以降の全体相場に夢をつなぎましたね。


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