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第2回 2001年01月23日(火)

私も一応はテクニカル分析を研究するものですが、従来のケイ線信奉者とはどうしてもなじめません。

■一番、違和感を覚えるのはこの人達の大半が過去の失敗から何も学んでいないという点です。極端な例でいえば三尊天井型だと売ったら担がれて(売値よりも株価が上がって評価損を抱えること)しまったような場合、何故そうなってしまったのか、何故、多くのチャ−トの本に三尊型は天井打ちのパタ−ンであると書かれているのか、さらに三尊の三つの頭はどの程度であれば三尊型が形成されたと見なすのか、過去の例ではどのくらいの確率で当たっているのかといったことを深く考えもせず、単に自分は運が悪かっただけだと思い込み過去の数少ない成功体験にすがって損をし続け「ケイ線屋足を引き引き足をだし」などと揶揄されている始末です。

■株式投資のテクニカル分析もそろそろおまじないの世界から抜けだし、合理的な確率論に裏付けられた知的な手法に進化しなければなりません。


まず下の売買結果をご覧下さい。

これは1992年5月から今日まで人間の感情を一切交えず、買いサインが出たら翌週(週足を使っているので)の寄り付きで買い、売りサインが出たら翌週の寄り付きで売る、という作業を全く機械的に繰り返してきた結果です。

これを見て貴方はどう感じられたでしょうか?

1)何だ大したことない。この程度ならわたしにだって出来る。

2)どんな方法だか知らないがこんなにうまくいくはずがない。宣伝用に都合のいいものだけを後付でもってきたんじゃないの?

もし、あなたが後者であれば見込みがあります。私たちはこれから貴方のために懇切丁寧にこのやり方の解説をします。この部分はJP法のほんの入り口の一部に過ぎません。

あなたが前者であるとすると事はやっかいです。まず株式投資で何よりも大切とされる「己を知る」能力に欠けていると思われるからです。

考えても見て下さい。この表にある92年lから今日までは売っても買っても儲けることが非常に難しい時期だったのです。そんな時期に負ける喧嘩をせずに着実に利益を挙げてきたということは大変なことです。大変なことを大変だと思う正常な感覚がなくて株式投資で儲けることは不可能です。

ここから先は後者の方、つまり異常なことや法外においしい話にはまず疑ってかかるという合理的な精神をお持ちの方のみを対象に話しを進めることにいたしましょう。

森を見てから木を見よう・・・これがJP法の第一ステップです

この場合の森は、とりあえず日経平均と考えて下さい。まず、日経平均で大局を判断して「いける」と思われる時のみ個別銘柄を選んで投資します。(その他細かい重要なことが沢山ありますが、まず本質を理解して頂くためにできるだけシンプルにいきます。

日経平均で買いポイントを見付ける方法

今回は最初ですのでごくごくシンプルな方法を採用します。まず下の表をご覧下さい。

なにやらややこしい表が出ていますが意味することは極めて簡単です。大雑把に言って過去3ヶ月間に日経平均に組み入れられているような株を買った投資家の平均買い値から時価は6%程度値下がりしており、一年間に買った投資家の成績はさらに悪く14%程度、平均で目減りしている(これが「短弾性値 以下−6」「長弾性値 以下−14」の大まかな意味です。

次に日経平均の過去52週間の最高値を付けた日から今日まで26週(約半年)以上経過しているということを「最高値周期 52」「最高値日柄 以上 26」で表しています。

最後に、これまでに規定してきたように値幅も下がり、ある程度日柄もたった。そこで下がり続けていた株価が過去3週間の高値を抜け、下げ止まったような感じになってきた。(これが「ハイ・ローバンド 周期3」「ハイローバンド 向き4」の意味)

この条件を満たしたポイントを日経平均週足上に表示させると下のようなところになります。

上記チャ−ト上に引かれた3本の縦線が先ほど説明した日経平均上の買いポイントです。一番最初のポイントはどうやら高値掴みになってしまったような感じですし、今回の買いポイントはもう少し時間が経過してみないことにはうまくいっているかどうかわかりません。

どだい、こんな短い期間で判断の正当性を考えてもつじつま合わせになりかねません。もう少し先の時期を見てみましょう。

「ウ−ムッ」これではいくら私でもうまくいってると言い切るのを躊躇せざるを得ません。ま、高いところを買うよりも安いところを買った方がましだという程度に割り切って、それぞれのポイントで個別銘柄を選び一定の条件で売買するとどうなるのか見てみましょう。

個別銘柄の検索法及び売買の手法

まず一番大切なことは自分の予測能力のようなものを過信しないことです。これは自分ばかりではなく人間一般に言えることです。自分の能力の限界を知っている人とそうでない人の差は株式市場においては生死を分けるほどの深刻な差となって現れます。

従って個別銘柄を買うにあたたって

@安いところを買ったと思ってもさらに安くなることがままあるので、最悪の場合3割以上の値下がりも覚悟し、もし株価が3割以上値下がりするようなことがあれば、その翌週にナンピンが入れられるよう資金を案分しておく。(株式投資では常に最悪の場合を想定し、そのようなことが万一起こっても驚かないよう覚悟して期待先行の無理な投資をしないことが肝要です。このような保守的な方法でもこれから申し上げるような合理的行動を繰り返していくことにより非日常的な収益になってくるはずです。

A全上場銘柄の中から1銘柄だけ買ったとすると、その銘柄が値上がりしなければせっかくのチャンスをのがしてしまいます。すくなくとも5銘柄程度は同時に売買してリスクを分散すべきです。

■個別銘柄の選び出し方

貸借銘柄のみを対象にします。(市場性の問題から)

■RJ指数が20以下でV字j反転した銘柄を選びます。(RJ指数とは弊社が独自に開発したオシレ−タ系の逆張り指標です。

日経平均が前に述べたような方法で買い場になった場合、合格銘柄がかなり沢山でてくるはずです。そこで下げの大きい株ほど反動高も強烈であろうと決め込んで(これは別の機会に解説させて頂くが、意外に根拠がある)26週移動平均からの下方カイリの大きい順に5銘柄を選び、これを翌日の寄り付きで同時に一括して買うことにします。

92年5月10日の例

では一番最初の5月10日の例で説明しましょう。この時の買いは今から見れば下げの途中を買ってしまったので、あまり良い例とはいえませんが、自分に都合のよい例だけを取り上げ解説していくと、私が軽蔑しているケイ線屋さんといっしょになってしまいます。あえて失敗例から見ていきましょう。

その時の日経平均のチャ−ト・・・下図の左端の縦線のところ日経平均的には戻り高値を買うことになる

この日RJ指数が20ポイント以下でV字反転した銘柄は全貸借銘柄のうち65銘柄ありました。このうち26週移動平均の下方カイ離の大きい順に銘柄を並び替えると下記に表示したNO1からNO5が買い付け対象になります。これを翌週の寄り付きで買い付けます。(この投資法は週足なのでここで述べている投資法のような簡単なものは週末の10分もあれば終わってしまいます

次にこの上位5銘柄の合成チャ−トを下記のように作ります

翌週の寄り値1176円平均で5銘柄を買います。相場が下がってこの買い値の30%下823円を下回ったらその翌週の寄り付きでナンピン買いを実行することにします。安値758円をつけた翌週の寄り付きでナンピンすると835円で買えます。

売却は6週間以内に短期急騰してしまった場合は直近の陰線を付けた翌週の寄り付きで、それ以外の場合は買い値から5割以上上がったところでハイ・ローバンドが売り転換した翌週の寄り付きで機械的に売ることにします。

今回の場合6月21日に平均1432円で売却することになります。買い値は1176円で5000株、823円で5000株ですから平均999.5円で一万株買ったと同じになり、これを1432円で売るですから平均して4割は結果としてですが儲かったことになります。ナンピンの必要がでてきたのはこのケ−スだけで後の売買ではでてきておりません。

このように絵にすると格好が悪くなってしまいますのでケイ線の解説などではきれいに当たった例しか採り上げないのが普通です。しかし、実際の株式の売買では今回のような例が日常茶飯事といっていいほど続出しているはずです。大抵のケイ線屋さんはナンピンを否定しています。「下手なナンピン素寒貧」などといって今回の買い場で投げる(ロス・カットと称して)ような場面をしばしば見てきました。株式と商品先物は基本的に商品の性質が違います。しかし、ケイ線の大家と称する人達はどちらかというと商品畑からでた人が多いので株式と商品先物を混同しているようなところがあります。

以下順に日経平均と合成チャ−トを併記しますので参考にして下さい。中にはせっかく大相場になるのに早く売りすぎたと悔やまれる例もありますが、この点に関しては心配無用です。今回説明した買い場の探し方よりもはるかに精密な方法が沢山ありますし、大底圏の買い場、上昇初期の買い場、上昇過程での買い場、空売りの仕掛けどころ等、細かに局面ごとに分割し、日足ベ−ス、週足ベ−スで自在かつ合理的に(少なくとも当人としてはそのつもりで)開発されています。これから徐々にこのノウハウを公開していきます。楽しみにしていて下さい。

92年8月23日の例

上記にみるように買ってから3週間と1日で3割取れたことになります。

19995年4月23日の例

1998年1月18日の例

早売りしたきらいはありますが、本来であればここは買ってももうけにくいところです

1998年10月25日の例

これで非常に素朴なJP法のシステマチックな買いの原理を解説しました。時によっては買うべきところで利食ってしまったようなところもあります。しかし、これは気にしなくとも良いと思います。局面が変われば別の買いサインがでてきます。今回は週足による売買を解説しましたが、日足によるシステム売買の手法もあります。

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